家出

タクシーが家出小学生を優しく送ってくれた日。


タクシーのエピソードと言えば、いつも思い出す事があります。

私が小学6年生の頃、些細な事で母親とケンカしました。

その頃私はプチ反抗期で、「もうこんな家出てってやる!」と、

貯金箱からお小遣いをありったけ出し、夕方から家出を敢行しました。

家出もうどこいったろか!と、とりあえず電車に乗りましたが、

一人では絶対行かない、そこそこ遠い街まで行ってしまいました。

「お母さんなんて心配すればいいんだ!」と鼻息荒く出たくせに、

見知らぬ街に一人ポツンと降り立った途端、全く知り合いもなく、

空が暗くなってきて、「私、どうなっちゃうんだろう」と、無性に不安になりました。

さすがに、エリア外に来てしまった事でヤバイと感じ、

所持金も確かめずに目の前に停まっていたタクシーに乗ってしまいました。

とりあえず自宅の住所を告げましたが、やはり不安げな顔をした小学生が

午後7時に一人でタクシーに乗るという状況を心配してくれたらしい運転手さんが、

優しく 「どうしたの? 何か嫌なことでもあったのかい?」 と聞いてくれました。

その優しい声に、緊張の糸がほぐれた私は、家出の経緯を事細かに話しました。

すると、運転手さんがまた穏やかな声で私に言いました。

「そうか~ おじさんもお嬢ちゃんの気持ちはわかるけど、

黙って家出は良くないなあ。お父さんもお母さんも、小学生の娘がこんな時間まで

帰ってこなかったら、何かあったんじゃないかって、気が気じゃないと思うよ。

おじさんも一緒に話してあげるから、ちゃんと帰って家出したことは謝るんだよ。」

そんな風に言われて、何かすごく悪いことをしたような気持ちになって、

家に着く頃には(謝らなきゃ・・・)と、しょぼんモード。

玄関「さ、一緒に行こう」と優しく促されて、ピンポーンとドアホンを押すと出てきたのは母。

「お母さんですか? ~~~いう事でお嬢さん、ちょっと遠出しちゃったんですけど、

あまり怒らないであげてください。とても反省してるみたいですから。」

どこまでも優しい運転手さん。

そこに、私の母・・・

「あれ、いなかったの?(笑) 気づかなかったわ~!アハハ ありがとうございました!」

お か あ さ ん ヒ ド イ ・ ・ ・

 

私の冒険物語は、「気づかれてない」からの、「タクシー料金6000円」で

大目玉を食らって終わりました。

最初で最後の家出でした(笑)

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あの時の優しい運転手さん、どうしてるかな・・・

私、元気です。 あの時はありがとうございました。