稲川淳二

深夜、タクシーで心霊?ひんやり体験をする。


ある夏の日の話です。

私はいつもの如く、飲み会の帰りにタクシーに乗りました。

その日は蒸した暑い夜でしたが、タクシーの中はほどほどの温度。

私は冷房で冷え過ぎた車は苦手なので、ちょうどいい温度でした。

その日は彼氏の家に行く約束をしていたので、いつもの自宅へのコースとは全く違います。

ボーッと乗っていたら、建物の少ない道に入りました。

夜の墓地砂利道で、ちょっと道も悪くて、スピードもあまり出せない道です。

(へ~こんな道通るんだ)と外を眺めていると、道の途中に墓地がありました。

(ああ、こんなところに墓地なんてあるんだな・・・)と、深く気にしないで乗っていると、

気のせいか、車内の温度が急激に下がった気がしたのです。

(ん?冷房かな?) と思いましたが、運転手さんが動いた気配はありません。

さっき墓地を見たばかりだったので、それを口に出すのが何やら怖くて、

(寒い・・・)と思いつつ、平静を装ってると、

犬が吠えるワンワンワンッ!! と、犬が! それも二頭!

なんと走っているタクシーに向かって、吠えまくって飛びかかってきたのです!

「わわわわ・・・ 犬が!犬が飛びかかって来てますけどッ!!」

「はいっ」 と運転手さんがスピードを上げて、狂ったように吠える犬を振りきって

大きな道に出ました。

 

・・・・・気まずい沈黙。

「あの~さっき、犬が追いかけてくる前、車内がすっごく寒くなりませんでした?」と私。

「はい、実は私も思いましたが、何となく言えませんでした・・・」

「そうですよね?そうですよね?寒かったですよね?」

それを話している時には、もう普通の温度になってました。

「犬が車を追いかけてくるなんて事、よくあるんですか?」

「いえ・・・私もタクシーに乗って25年になりますけど、こんな事初めてです」

・・・・・・

恐いっちゅーの!

その街はそこそこの都会で、もう野良犬なんてめったにお目にかからないのに、

何故そこに二匹も?

降りる間際に、

「もしかしたら、あの時・・・乗ってたのかもしれませんね」

ギャー!言っちゃったーーー!!

タクシーであんな恐い経験したのは、あの時一度きりです。

 

稲川淳二よくタクシー運転手さんが語る怪談ってありますよね。まんざら嘘じゃないと思いました。

私の隣に誰か乗ってた?  おーこわ。

その後二度とその道は通ってません。

 

今もあの犬がいたりして・・・・ まさかね。